デザインと見栄え

山中: デザインという言葉が誤解されている例として、「デザイン優先」という言い方がありますよね。六本木ヒルズで非常に痛ましい回転ドアの事故があったあとで、その公判のニュースに「デザイン優先・安全を軽視」という言葉が使われていた。でも、それは違うと思う。
茂木: 「デザイン優先」ではないですよね。あれは、デザインが優先されていなかったからこそ起きた事故ですよ。
山中: そのとおりです。その表現が「見栄え優先・安全を軽視」だったら、まだ納得できる。なるほどそれはいけない。それこそが建物のデザインの失敗であり、見栄えを優先して安全を軽視したこと自体がまさに悪いデザインだったのです。「デザインを優先した」という言葉からは最も遠いことなのです。僕がデザインという言葉でふだんから実践していることと、世間一般でデザインを「格好」の意味で使い、「付加価値」と読んだりするときのデザインという言葉とのあいだに、すごくギャップがあるんですよね。

デザインは論理と感覚のあいだを往還する 茂木健一郎+山中俊治 対談 Inter Communication (インターコミュニケーション) 2007年 04月号 [雑誌]

少し前に、話しの流れでこの話題が出たことがあった。その場にいた方々は違いを認識していて、普段から本物の方を意識されているようだった。

渡邊恵太さんの記事「インターフェイスの大変動」も面白いです。UI,インタラクションデザイン,Apple,任天堂,Google,IDEO

Inter Communication (インターコミュニケーション) 2007年 04月号 [雑誌]

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